店舗コラム
【居抜き店舗売却の相場と査定ポイント完全ガイド】飲食店・美容・物販の譲渡価格と早期成約のコツ
店舗居抜き売却の相場と査定ポイント完全ガイド|飲食店・美容室・バー・物販の譲渡価格と早期成約のコツ
店舗を閉店・移転・業態変更する時に、できるだけ費用を抑えたい方にとって重要になるのが「居抜き売却」です。
居抜き売却とは、店舗の内装、厨房設備、カウンター、空調、什器、家具、美容設備、看板などを、次の出店希望者に引き継ぐ方法です。スケルトンに戻して退去する場合と比べて、原状回復費用や撤退費用を抑えられる可能性があり、さらに造作譲渡料として売却金を得られる場合もあります。
ただし、居抜き売却の価格は一律ではありません。同じ20坪の店舗でも、飲食店なのか、美容室なのか、バーなのか、物販店なのかによって、買い手が重視するポイントも価格帯も大きく変わります。
この記事では、店舗居抜き売却を検討している方に向けて、業態別の譲渡価格の目安、査定で見られるポイント、高く売るための準備、早期成約につなげるコツを分かりやすく解説します。
閉店を決めてから動くのではなく、退去連絡の前に売却可能性を確認しておくことで、選択肢を広げやすくなります。
店舗居抜き売却とは?撤退費用を抑えるための選択肢
店舗を退去する際、多くの賃貸借契約では「原状回復」が求められます。原状回復とは、借りた時の状態に戻すことを指します。特にスケルトン渡しで借りた物件の場合、内装や設備を撤去し、床・壁・天井・配管・電気設備などを契約条件に合わせて戻す必要があります。
飲食店、美容室、サロンなどは内装や設備の工事費が大きくなりやすいため、退去時の撤去費用も高額になることがあります。そこで選択肢になるのが、現在の内装や設備を次の借主へ引き継ぐ「居抜き売却」です。
居抜き売却が成立すると、次の出店者は内装工事費を抑えて開業でき、売主側は撤退費用を抑えながら造作譲渡料を得られる可能性があります。貸主側にとっても、空室期間を短くできる可能性があるため、条件が合えばメリットのある方法です。
ただし、居抜き売却は「設備が残っていれば必ず高く売れる」というものではありません。買い手が使いやすい状態か、貸主や管理会社の承諾が得られるか、次の業態に転用しやすいか、設備の状態が良いかなど、複数の条件で評価が決まります。
居抜き売却の価格は何で決まるのか
店舗居抜き売却の価格は、主に次の要素で変わります。
- 立地
- 坪数
- 賃料・保証金などの契約条件
- 業種・営業許可の取りやすさ
- 内装の状態
- 設備の年式・動作状況
- 排気・給排水・電気・ガス容量
- 看板や外観の視認性
- 次の借主の需要
- 貸主・管理会社の承諾
- 原状回復条件
- 売却までに残された期間
特に大きいのは、「買い手がそのまま使いたいと思えるか」です。
たとえば重飲食の場合は、排気ダクト、グリストラップ、ガス容量、厨房機器の状態が重視されます。美容室の場合は、シャンプー台、給排水、セット面、照明、清潔感が重要です。バーやスナックの場合は、カウンター、照明、音響、防音、夜の雰囲気が価値になります。
つまり、居抜き売却の査定では、単に「いくらかけて作ったか」ではなく、「次の人がいくらなら引き継ぎたいか」が重要になります。
ジャンル別まとめ|店舗居抜き売却の価格早見表
以下は、店舗居抜き売却を検討する際の一般的な価格目安です。実際の譲渡金額は、立地、賃料、設備状態、契約条件、退去時期、買い手需要によって大きく変動します。
| ジャンル | 譲渡価格の目安 | 設備価値 | デザイン価値 | 成約スピード | 主な買い手層 |
|---|---|---|---|---|---|
| 重飲食 | 0万〜900万円前後 | 高い | 中 | 早い | 法人、職人系個人、飲食経験者 |
| 軽飲食 | 100万〜450万円前後 | 中 | 高い | 早い | カフェ開業者、個人起業家 |
| バー・スナック | 80万〜350万円前後 | 中 | 高い | 普通 | 個人事業主、副業層、ナイト業態 |
| 物販・ギャラリー | 30万〜250万円前後 | 低〜中 | 高い | 普通 | アパレル、雑貨、展示会利用 |
| 美容室・サロン | 150万〜600万円前後 | 高い | 中〜高 | 早い | 独立美容師、エステ・整体・ネイル |
上記はあくまで目安です。高額な厨房機器や美容設備があっても、年式が古い、故障している、リース品である、次の業態に合わない場合は評価が下がります。一方で、内装がきれいで、動線が良く、写真で魅力が伝わる店舗は、相場よりも高く評価されることがあります。
1. 重飲食の居抜き売却|厨房設備と排気が価格を左右する
重飲食とは、焼肉、ラーメン、中華料理、鉄板焼き、焼鳥、居酒屋など、火力・油・煙・臭いが出やすい業態を指します。
重飲食店舗の居抜き売却では、厨房設備の価値が価格に大きく影響します。特に、排気ダクト、グリストラップ、防火設備、ガス容量、業務用冷蔵庫、ガスレンジ、フライヤー、製麺機、ゆで麺機などが使える状態で残っている場合、次の出店者にとって大きなメリットになります。
スケルトンから重飲食店舗を作る場合、厨房設備や排気工事に大きな費用がかかります。
そのため「重飲食可」で、設備が整っている物件は希少性が高く、問い合わせが入りやすい傾向があります。
逆に、重飲食は汚れや内装へのダメージが大きく出やすく、値段がつかないケースも多くありますが、
重飲食物件が年々少なくなっている中で、駅前物件などは、内装よりも場所確保のために高額の値段で取引されるケースもあります。
重飲食の査定ポイント
- 排気ダクトの状態
- グリストラップの有無・サイズ
- ガス容量
- 厨房機器の動作状況
- 油汚れや臭いの状態
- 防火区画・消防設備
- 厨房動線の使いやすさ
- 客席数と厨房面積のバランス
高く売るためには、厨房全体の写真だけでなく、ダクト、フード、グリストラップ、冷蔵庫、ガスレンジなどの設備写真を用意することが重要です。設備の年式や動作確認が分かる資料があると、買い手の不安を減らせます。
2. 軽飲食・カフェの居抜き売却|内装の雰囲気と写真が価値になる
軽飲食には、カフェ、スイーツ店、ベーカリー、テイクアウト店、定食店などがあります。重飲食に比べると排気や火力の負担は少ない一方で、内装の雰囲気や店舗の世界観が価格に影響しやすいジャンルです。
カフェやスイーツ店を開業したい人は、内装の印象、自然光、カウンター、テーブル配置、入口の雰囲気、写真映えする空間を重視します。そのため、壁の色、照明、床材、家具、グリーン、メニューカウンターなどがきれいに整っている店舗は評価されやすくなります。
軽飲食の査定ポイント
- 内装デザインの完成度
- カウンターや客席の雰囲気
- 電気容量
- エスプレッソマシンやオーブンの設置可否
- テイクアウト導線
- 看板や入口の見え方
- 写真映えする内装か
- 清潔感
軽飲食の居抜き売却では、昼間の自然光で撮影した写真が非常に重要です。実際の設備以上に「ここでお店を始めたい」と思わせる印象が、問い合わせ数に影響します。

3. バー・スナックの居抜き売却|夜の雰囲気がそのまま資産になる
バー、スナック、カラオケバー、ガールズバーなどのナイト業態では、カウンター、照明、ボトル棚、音響、ミラー、椅子、壁面デザインなどが価値になります。
このジャンルでは、昼間の明るい写真だけでは魅力が伝わりにくい場合があります。夜の照明を点けた状態で撮影し、実際の営業時の雰囲気を伝えることが大切です。
バー・スナックの査定ポイント
- カウンターの形状と状態
- 照明演出
- ボトル棚・バックバー
- 音響設備・カラオケ設備
- 防音性
- トイレ・バックヤードの清潔感
- 深夜営業や酒類提供に関する確認事項
- 周辺環境との相性
バーやスナックは、買い手が「そのまま営業できそうか」を重視します。過度に作り込まれた内装よりも、清潔で使いやすく、雰囲気が残っている状態が好まれることもあります。

4. 物販・アパレル・ギャラリーの居抜き売却|什器と世界観をどう見せるか
物販店、アパレル、雑貨店、ギャラリー、ポップアップショップ向けの店舗では、厨房設備のような高額設備は少ないため、譲渡金額は飲食店や美容室に比べて控えめになる傾向があります。
一方で、棚、照明、壁面、床材、レジカウンター、フィッティングスペース、展示導線などが整っている店舗は、次の事業者にとって使いやすい物件になります。
物販店舗の査定ポイント
- 棚・什器の状態
- 壁面・床材・照明
- 天井高
- 外観・ファサード
- レジカウンター
- 展示会やポップアップへの転用性
- 撮影利用のしやすさ
- 看板や入口の視認性
物販系は、汎用性の高さが評価につながります。白基調、ナチュラル、モルタル、シンプルな什器など、次の業態に合わせやすい内装は、買い手の幅が広がります。
5. 美容室・サロンの居抜き売却|給排水と設備配置が重要
美容室、エステ、ネイル、整体、リラクゼーションサロンなどは、内装工事費や設備費が高くなりやすいため、居抜き需要が安定しやすいジャンルです。
特に美容室では、シャンプー台、給排水、セット面、鏡、照明、受付カウンター、待合スペース、バックヤードなどが整っていると、次の独立開業者にとって大きな魅力になります。
エステや整体、ネイルサロンでは、個室数、ベッド配置、照明、空調、換気、清潔感が重要です。
美容室・サロンの査定ポイント
- シャンプー台の数と状態
- 給排水の位置
- 給湯器の容量
- セット面・鏡・椅子の状態
- 個室数
- 照明と清潔感
- 空調・換気
- 美容所登録や保健所確認に関する情報
美容室やサロンは、写真の印象が非常に重要です。明るい照明、きれいな床、整ったタオルや小物、清潔な鏡まわりを意識して撮影するだけでも、問い合わせ率が変わります。
居抜き売却前にやっておきたい3つの準備
居抜き売却を成功させるためには、査定前の準備が重要です。特に次の3つは、早めに整えておくことをおすすめします。
1. 写真を撮り直す
居抜き売却では、写真が第一印象になります。暗い写真、散らかった写真、営業中の生活感が強い写真では、本来の価値が伝わりにくくなります。
撮影時は、昼間に照明をすべて点け、床やカウンターを清掃し、不要な荷物を片付けた状態で撮影しましょう。厨房、客席、入口、トイレ、設備、外観を一通り撮影しておくと、査定や募集がスムーズになります。
2. 設備リストを作る
何を引き継げるのかが分からないと、買い手は判断しにくくなります。
厨房機器、冷蔵庫、製氷機、エアコン、給湯器、シャンプー台、椅子、テーブル、照明、音響、什器など、残すものと撤去するものを整理しましょう。
リース品、貸主設備、残置物、自分の所有物が混ざっている場合は、必ず区別しておく必要があります。
3. 譲渡理由を整理する
買い手は、なぜ店舗を手放すのかを気にします。
「売上不振」とだけ伝えるよりも、「移転のため」「業態変更のため」「人員体制の見直しのため」「別事業に集中するため」など、事実に基づきながら、相手が安心できる説明を準備しておくとよいでしょう。
譲渡理由を整理しておくことで、内見時の質問にも答えやすくなります。
高く売るためには退去連絡前の相談が重要
居抜き売却で最も避けたいのは、退去日が迫ってから慌てて募集を始めることです。
解約通知を出した後は、退去日までの期間が限られます。買い手探し、内見、条件交渉、貸主確認、保証会社審査、契約調整を行うには、一定の時間が必要です。時間が足りないと、価格を下げざるを得ない、売却を諦めて撤去する、という判断になりやすくなります。
閉店や移転を検討し始めた段階で、まずは居抜き売却の可能性を確認することが大切です。早めに相談することで、通常の居抜き募集、非公開での紹介、店舗オークション形式での募集など、選択肢を比較できます。
まとめ|店舗居抜き売却は「業態別の価値」を見極めることが大切
店舗の居抜き売却は、単に内装や設備を売るだけではありません。次にその場所で開業したい人にとって、どの部分が価値になるのかを整理することが重要です。
重飲食では厨房・排気・グリストラップ、美容室では給排水・シャンプー台・セット面、バーでは照明・カウンター・音響、軽飲食では空間の雰囲気、物販では什器とレイアウトが評価されます。
居抜き売却を検討する際は、次のポイントを確認しましょう。
- 業態ごとの相場を把握する
- 設備の状態を確認する
- 譲渡対象を整理する
- 写真を撮り直す
- 貸主・管理会社の承諾可能性を確認する
- 退去日までのスケジュールを逆算する
- 早めに専門家へ相談する
テンポ・オークションでは、店舗物件の居抜き売却、造作譲渡、店舗オークション、次テナント募集の相談を受け付けています。
「店舗を閉店する前に売却できるか知りたい」
「造作譲渡料の相場を知りたい」
「撤退費用を抑えたい」
「通常募集と店舗オークションのどちらがよいか相談したい」
そんな方は、退去連絡の前に一度ご相談ください。物件の状況、契約条件、設備内容、希望時期を確認したうえで、現実的な進め方をご案内します。
※本記事の譲渡価格は一般的な目安であり、実際の売却価格を保証するものではありません。物件の立地、契約条件、設備状態、貸主・管理会社の承諾、買い手需要、退去時期等により大きく変動します。正式な条件は個別にご確認ください。